Covid-19の航空機内伝達についての研究
Cobid-19 の航空機内伝達についての研究
WSJ に興味深い記事がありましたが、わかりづらいところもあったので、原典を探してみました。その内容を簡単にまとめてみます。
航空業界は、航空機内で行われたエアロゾル拡散実験のデータに基づいて、新型コロナウイルス感染する確率は小さいと主張しているようです。
しかしながら、シミュレーション事件による分析では、機内の換気・ろ過システムの性質上、エアロゾル濃度が大幅に低下するものの、必ずしも機内感染の確率やリスクが低いというわけではないことが示されました。
しかし、マスクの着用、特に高効率のマスクの着用は、このリスクを大幅に減少させることもわかりました。
12時間のフライトでは、個人の平均感染確率は0.8%から10.8%になります。
乗客全員が12時間のフライト中にフェイスマスクを着用した場合、平均感染確率は高効率/低効率のマスクで約73%/32%減少します。
1時間の食事サービス時に、マスクを外した場合、マスクを外さない場合に比べて平均感染確率は高効率/低効率のマスクで59%/8%上昇します。
高効率のマスクでは平均感染確率をかなり減らせるが、低効率のマスクではあまり減らせないので、外した時の変化は、逆に低効率のマスクで小さい、ということなのでしょう。
食事の時に1時間外しただけで、平均感染確率が1.59倍になるのですね。
実験的エアロゾル分散データに基づくCOVID-19の機内伝達、Zhaozhi Wang(博士)、Edwin R Galea(博士)、Angus Grandison(博士)、John Ewer(博士)、Fuchen Jia(博士)、ジャーナル・オブ・トラベル・メディスン、第28巻、第4号、2021年5月
概要
背景
長距離および短距離のフライトにおいて、コロナウイルス2019(COVID-19)が機内で感染する可能性があることは、旅行者にとって懸念すべき問題である。航空業界は、報告された症例やモデリング、航空機内で行われたエアロゾル拡散実験のデータに基づいて、この病気に感染する確率は小さいと主張している。
方法
B777-200型機の実験で得られたエアロゾル拡散データとWells-Riley式の修正版を用いて、クアンタ発生率とフェイスマスクの効率を含む様々なシナリオに対する機内感染確率を推定しました。クアンタ発生率は、文献で報告されているCOVID-19イベントに基づいて選択し、マスク効率はエアロゾル拡散実験から決定した。
結果
MID-AFTのキャビンが最も高い感染確率を示した。2時間のフライトで計算された個人の最大感染確率(マスクなし)は,「穏やかなシナリオ」の4.5%から「厳しいシナリオ」の60.2%まで変化したが,対応する平均感染確率は0.1%から2.5%であった。
12時間のフライトでは、個人の最大感染確率は24.1%から99.6%に、平均感染確率は0.8%から10.8%になります。乗客全員が12時間のフライト中にフェイスマスクを着用した場合、平均感染確率は高効率/低効率のマスクで約73%/32%減少します。
1時間の食事サービス時を除いて乗客全員がフェイスマスクを着用した場合、マスクを外さない場合に比べて平均感染確率は59%/8%上昇します。
おわりに
今回の分析では、機内の換気・ろ過システムの性質上、エアロゾル濃度が大幅に低下するものの、必ずしも機内感染の確率やリスクが低いというわけではないことが示された。しかし、マスクの着用、特に高効率のマスクの着用は、このリスクを大幅に減少させる。
Inflight transmission of COVID-19 based on experimental aerosol dispersion data, Zhaozhi Wang, PhD, Edwin R Galea, PhD, Angus Grandison, PhD, John Ewer, PhD, Fuchen Jia, PhD, Journal of Travel Medicine, Volume 28, Issue 4, May 2021. https://doi.org/10.1093/jtm/taab023